技術資料 タービンメータ編1. 流量補正 |
「タービンメータ 気体の流量補正」
設計仕様と異なる「気体」、「圧力」、「温度」で操業している場合は流量の補正が必要です。
2. 気体 (流量表示が質量流量の場合) 例 : kg/h
W1:実流量(補正後の真流量) | 質量流量 kg/h :単位は任意 |
W0:タービン指示流量 | 質量流量 kg/h :単位は任意 |
ρ1:操業状態気体の密度(ロー1) | kg/m3(ntp) |
ρ0:設計仕様気体の密度(ロー0) | kg/m3(ntp) |
P1:操業状態の圧力 | kPa(G) |
P0:設計仕様の圧力 | kPa(G) |
T1:操業状態の温度 | ℃ |
T0:設計仕様の温度 | ℃ |
K1 | 相異気体補正係数 |
K2 | 圧力温度補正係数 |
ρ1、ρ0は異種気体の場合であり、同一気体の場合はK1の計算は不要です。
流量計仕様は設計仕様圧力、設計仕様温度で示されている場合です。
質量流量単位は g/min kg/min など任意です。
圧力がMPa(G)の場合はkPa(G)に換算して計算してください。
例2.
設計仕様が
窒素ガス(N2) 最大流量 200 kg/h
設計仕様圧力 500 kPa(G) 設計仕様温度 20 ℃
実際の操業が 空気(AIR) 圧力400kPa(G) 温度25℃で流量指示が100kg/h の場合
。
窒素ガスの密度1.25kg/m3(ntp) 空気の密度1.293kg/m3(ntp)とした場合。
K1の計算 | ||
K1 |
= | ρ1/ρ0 |
|
= | 1.293/1.25 |
= | 1.0344 |
K2の計算 | ||
K2 |
= | |
= | ||
= | 0.8197 |
W1= W0 × K1 × K2 |
= 100 × 1.0344 × 0.8197 |
= 84.79 (kg/h) |
器差=(指示流量−実流量)/指示流量 ×100 %
(器差計算は JIS Z 8765-2002 によります。)
W % | タービン指示流量 W0 | 実流量 W1 | 器差 %RD |
100 | 200 | 169.6 | 15.2 |
90 | 180 | 152.6 | 15.2 |
80 | 160 | 135.7 | 15.2 |
70 | 140 | 118.7 | 15.2 |
60 | 120 | 101.7 | 15.2 |
50 | 100 | 84.8 | 15.2 |
40 | 80 | 67.8 | 15.2 |
30 | 60 | 50.9 | 15.2 |
20 | 40 | 33.9 | 15.2 |
10 | 20 | 16.9 | 15.2 |
5 | 10 | 8.5 | 15.2 |
0 | 0 | 0.0 | 0.000 |
解説 | タービンメータは推測式体積流量計の一種です、これはある体積が通過するときにタービン の羽根が何回転するかをあらかじめ知っておき、実際の測定時には羽根が何回転したから いくらの体積が流れたと推測しています。 流量表示が質量流量では設計仕様の体積の質量と実際の操業時の体積の質量が異なると 流れた体積の質量が変わってしまうために流量の補正が必要になるわけです。 特に注意していただきたいのが「質量流量単位」と「質量流量計」を混同して考えて タービンメータにおいて「質量流量単位」を用いているのだから、温度、圧力が変わっても 流量指示は正しい!との誤った解釈はしないでください。 タービンメータは質量流量計ではありませんので、ご注意ください。 上記例は設計仕様の気体が窒素(N2)の場合に実際の操業が異なる空気の場合ですが 設計仕様の気体と操業の気体が同じであっても「圧力」、「温度」が設計仕様と異なる 場合にも同じ計算での補正が必要です。 ただし、上の補正では気体の粘度変化は考慮されていません。気体の粘度が変化すると タービンメータの出力は変化しますが、計算では補正できまん。 気体の粘度は温度変化によって生じますので、正確な補正は実流量(実粘度)での校正 が必要になります。 |